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宮古空港では飛ばないB777が石垣空港で就航している訳

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 (年末に宮古空港周辺で撮ったB787) 

 

  前回、宮古空港へ出張に行った際に記事をあげましたがその中で『宮古空港の滑走路長が2000mなのでB777が就航できないのではないか』ということを書きました。しかし、よくよく調べてみると、宮古空港と同じ滑走路長である石垣空港ではB777が就航しているではありませんか!!宮古は石垣に負けず劣らずの観光地として有名です。観光客数を伸ばすのであれば宮古空港にもB777を就航させた方がいい気がします。そこで今回は石垣空港で就航しているB777宮古空港で就航していない理由が何なのか調べてみました。

 

 

 

 

 

 

 石垣空港に就航しているB777とは?

 石垣空港には9つの航空会社が就航しています。その中でハワイアン航空JTAとの共同運航便として就航しているので、オペレーションをしている航空会社で言えばそれを除いた8会社となります。その中でも現在、石垣空港に就航しているB777B777-200/200ERでANAの石垣ー羽田路線のみとなります。JTAでも石垣ー羽田路線を就航しておりますがB737-800を使用しています。

 B777-200ERがそもそも 石垣空港に就航できるかどうか疑問に思うところですが、それはANAがネットで公表している諸元表が説明してくれました。図によるとB777-200ERに必要な離陸滑走距離は3500m以上となっていますが、こちらの数字は最大離陸重量の場合に設定されている離陸滑走距離であり、最大離陸重量を制限できたら必要滑走路長を2000m以内にすることも可能です。そのため、諸元表で表している数値は国際線使用時のものと思われます。ANA国内線の機種・シートマップにてB777-200を見てみると航続距離が記載されていて、その航続距離がANAの諸元表より小さい値になっています。その値から考えるとさらに必要滑走路長は短くなるとも推測できます。また、ANAの諸元表が2007年のため、新たに改訂されていたとしてもB777-200/200ERが石垣空港に就航できているのでその制限はクリアしていると言えるでしょう。

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引用元:ANA諸元表2007年

URL:https://www.ana.co.jp/ir/kessan_info/annual/pdf/07f/07f_06.pdf#search='B777200ER%E8%AB%B8%E5%85%83%E8%A1%A8'

 


石垣空港宮古空港の違い

 石垣空港宮古空港にはいくつか違いはありますがここでは大きく分けて3つに絞って話をしたいと思います。その内の2つは推測でしかないですが、1つだけは明確な理由があります。

 

①誘導路の数

宮古空港

 宮古空港には滑走路の中央付近に誘導路があります。そのため、離着陸の際には滑走路末端の『ターニングパッド』と呼ばれる航空機が切り返せるスペースがあり、そこで方向転換をして中央の誘導路から駐機場へ出入りしています。そのため、ターニングパッド』内で切り返せる航空機が宮古空港に就航できることとなるため、恐らくB777-200/200ERはそれに該当しないと思われます。

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引用元:那覇空港測候所

URL:https://www.jma-net.go.jp/naha-airport/tokusei/romy/romy.html

石垣空港

 石垣空港宮古空港とは違い滑走路末端にも誘導路があります。離着陸した飛行機はそこからターミナルに向かえばいいので誘導路が適切な大きさと強度があればB777-200/200ERのような大型機でも就航可能ということになります。

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引用元:那覇空港測候所

URL:https://www.jma-net.go.jp/naha-airport/tokusei/roig/roig.html

②空港内の航空機の駐機場

 全ての空港において大きさの違う航空機をどの駐機場でも駐機することができるわけではありません事前にフィットチェックを行い安全に駐機することができるスペースを確認することで駐機できる機材の大きさを設定していますB777-200/200ERは大型機のためB737型機と比べて多くのスペースを必要とします。そのため、石垣空港で就航しているB777-200/200ERの駐機場所も全ての駐機場所ではなく、駐機可能な駐機場が設定されているでしょう。宮古空港に関してはそもそもB777型機が就航していないので、そのためのスペースが確保できていない可能性があります。

 

③消火救難体制(本命)

  消火救難体制(RFFS:Rescue and Fire Fighting Services)とは空港の消化能力のことを指します。機種によって必要とされる消化能力が異なるので、それを満たしている空港にしか就航できません。宮古空港石垣空港ではそれが異なっていることに気づきました。

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引用元:AIP JAPAN

URL:https://aisjapan.mlit.go.jp/Login.do

 

 画像はAIP JAPANより引用したものです。先ほど説明した消火救難体制は10段階にカテゴリーされていて、石垣空港がカテゴリー9に対して宮古空港はカテゴリー8になっています。実はここがすごく重要でB777-200/200ERが就航するためには消火救難体制のカテゴリー9が必要なのです宮古空港ではこの消化救難体制のカテゴリーを8から9に引き上げなければ①、②で説明した空港施設が整っていたとしてもB777-200/200ERが就航することができないということになります。

 

こちらからBOEINGの各機種に必要な消火救難体制を調べることができます👇

URL:http://www.boeing.com/assets/pdf/commercial/airports/faqs/aircraftarff.pdf

 

 

 久々に空港のことを色々と調べてみましたが、大型機を就航させるために様々な空港施設や航空機事故時の消火能力が必要だとはじめて知りました。大きい空港であればあるほどそれらの施設は整っていますが、新規開拓による就航や新空港を建設する場合には就航させる機材に必要な設備や体制が空港に整っているかを見込んで計画を立てなければならず、非常に多くの情報を必要するためとても大変なものとなるでしょう。